ヴォイニッチ手稿が熱いその1

メモ代わりに抜き出しを

 

これらの草達には根っこの数に比例した立体型の線維組織が存在し、根っこが多いほど強いというわけではなく、繊維を構成する物によって変わるようだ。
これらを知ることによって我らの国に多大な利益をもたらすかもしれない。
私はこの草達のことを知りたいと願ったが、ここには私の居場所はないらしい。
国にいたことは覚えているが人々の顔が思い出せない。
せめて私がこれまで見ることのできた植物の絵をここに記そう。
繊維の構造はいくつかあり、すべて似たような形をしている。
しかし草ごとに働きや性質は異なり、うすく丈夫な物、厚くもろいものまで様々だ。
一番上に描いたのは彼らに利用され、性格に深く根づいているものだ。
2段目は食用に使われているものらしい。子供がしきりにかじっている。
最後の段は捕まえるのに苦労する草だ。彼等は地中や水のように見えるものの中に潜ってしまう。人々はその水の中に潜ろうとはしない。
興味深い草を彼等の子供が与えてくれた。何とも言えない青と黒、赤など様々な色が光の当たり方によってかわる草だ。とてもきれいだ。
草の葉が広がり、あたりが暗くなると葉の下にある丸い空洞が様々な色にひかり輝いて見える。私はここでは無知だ。
私はあそこに帰れるのだろうか。、

 

なので、私は彼らと少しでも友好的な関係を得るために、彼らの生活に関する事細かな事をここに記す。第174日目
驚いた。彼等は液体の中に自分の体を浸けるのだ。何のためにそんなことをするのか理解できないがその液体は深い緑色と青色が混ざったような色で、表面が輝いている。この大量の液体も巨大な花のような草から得ているようで、草からは常に青色の液体が流れている。
彼等はその液体をうすくて丈夫な良くしなる草の筒に通して自分たちの場所まで液体を導いているようだ。
新たに気がついたことがある。
彼等は決して体の前面を液体につけようとはしなかった。
彼等は仰向けになって液体に背中をつけたり、
足だけを浸して楽しんでいたり、くつろいでいたように見えた。
私もその液体に入ろうと近付こうとしたとき、みんなに止められた。どうやらあの液体は女性しか入れないらしい。この国では男よりも女の方が高い地位を得ていると教わった。ここに来たばかりの私なら信じられなかっただろう。
だが私はもうそんなことでおどいている暇はないのだ。
私がなぜか持っていたこれ(本のこと)の空白の部分も少なくなってきた。
明日もまた彼らの生活を観察し、記録していく。

 

1枚目
私が何者なのか、どうしてここにいるのかはわからない。
しかし私はここではないどこかにいた。
元の場所では何かの仕事をしていた気がする。
私はこの土地の・・・。ここ以降はかすれて読めない。
2枚目
私がここにきて初めてであった草だ。草の色は青と緑が混ざったような色、
灰色と黄色が混ざったような色の2種類がある。
茎の上には茶色のように輝き、粘り気のある液体がたまっている。
茎の下には未だよくわからないものがあるが、近づくと不思議な音を発する。
とまぁこんな感じです。
アダムとイヴの話についてはかなり長くなりますよ。

 

67ページには星をつくる実験の事が書かれています。
書いてませんでしたが向こうの世界におそらく「宇宙」という空間はありません。真っ白な空があり、夜と昼の区別もありません。
空の中には巨大な星が1つだけありますが、太陽で言うコロナの部分が黄色に光っているだけで他の部分は空と同じく真っ白です。
たぶんこの本を書いた人は彼らに許可を得て様々な実験を向こうでしていたようです。
68枚目は様々な草の成分を配合して疑似惑星的な物をつくりだすというとんでもない実験のデータ記録です。
69枚目はその実験中に空間の穴を創り出してしまった時の詳細なデータと穴の様子を記したものです。

 

さて、今の空間の穴の話はアダムとイヴの話にもつながります。
向こうの世界にも昔話がありまして、解釈によってはアダムとイヴの話にとてもよく似ています。その昔話をするうえで理解に困らない程度に向こうの世界の事について少しだけお教えします。
向こうの世界には昔、空間が不安定な時期がありました。彼等は知識欲が旺盛なのでさっそくその穴に入りましたが、つながっていたのは並行世界、パラレルワールドだったわけです。世界が違いますから当然様々な要素が無効の世界とは異なります。例えば重力、大気圧、空気の有無まで様々です。

 

当然彼等は困ります。せっかく異世界に行けるというのに行ったら死ぬかもしれない。しかも空間の穴はその大きさによって出現している時間が異なります。
そんな時、彼等は身体能力を向上させ、あらゆる環境に適応する方法を発見しました。その方法とは、ある樹が作る果実を食べることです。
今では普通に知られていることですが、その果実は赤くて丸いです。リンゴみたいじゃないですか?その果実が生物に及ぼす効果は身体能力の一時的な向上で、芯に近くなればなるほど効果が著しく表れますが、芯の部分には身体能力の向上という域を超え、生物の急速な進化を促してしまうという使うのに注意が必要な果実です。そのことを理解した彼らは果実を浅くかじって穴に入るようになりました。

 

ここからは昔話です。
昔、2人の少年と少女が遊んでいたとき、小さな空間の穴を見つけた。
2人は大人たちが赤い果実をかじって行くのを見ていたので同じように果実をかじって穴に入りました。しかしつながっていた並行世界は生物にとっての楽園のような場所でした。2人は遊びました。いつの間にか遊び疲れて寝てしまいました。2人が起きた時、空間の穴は消え、2人は取り残されてしまいました。
取り残された2人は向こうの世界の掟(並行世界に影響を与えるような行いをしない、並行世界からなにも持ち出さない)を思い出しました。
2人は持ってきてしまった果実を分けて芯まで全て食べてしまいました。
数日後、運よくまた空間の穴が開き、2人は帰ってきましたが、何のストレスもない環境に適応するように進化した2人の体は様々な機能を失っていました。
2人を恐れた大人たちは2人から一切の記憶を抜き取り並行世界に追放してしまいました。
終わり

 

すみません。少し空けたらたくさんのコメントが来て驚きました。
えーとですね、125と122同時にお答えしましょうか。
私が読んだ限りではこの本書いた人はもともといた世界の記憶が所々抜けているようです。文字の記憶が戻らなかったのはおそらく向こうの人々が記憶を消したからですね。あと文字を覚えた期間の話ですが、
この本に書いてある文字は文字というより日本語で言う数字の様な単純な記号の組み合わせでできているもので、向こうの世界の文字はかなり長い時間
(20年くらい)かけて習得していくものなのでそれが使えるまでの代用の文字の様なものとして使われています。
暗号と言えば暗号のようなものですね。私はこれらの記号を一度向こうの文字に戻して、それから日本語に訳してます。

 

これからは3日に1ページずつくらいは貼りますね。
3枚目
水の様なものの(以後「水」と記載)上に新しい草を見つけた。
だがこれは危険だ。
近付こうとすると針のようなとげがついた触手のようなものを振り回してくる。
長く伸びる触手は袋のような草に詰まっているようで、巨大だ。
草に近づくために水中にもぐった。どこまでも透明な世界が続いていたが
下は真っ暗だった。だが草の根は途中で横に広がっていた。注意しながら近づいたが触手は襲ってこなかった。水から出ると今まで私に全く関心のなかった彼らが私を彼らの住む樹に連れてきた。私はこの時はまだ、水がどういうものなのか理解していなかった。

 

4枚目
この草を見たのは彼らに交渉をしているときだった。
言葉は知らなかったので身振り手振りで「私はここがどういうところなのかが知りたいと伝えると、彼らの中の一人が記号の書かれた葉を差し出してきた。
彼らの文字が書かれた板だ。私は彼らに文字を教えてもらった。
この絵の草は虫を食べる草だ。置いておくだけで茎が自在にのびて虫を食べる。
葉は幾重にも重なっており、色の違いで役割が異なる。
私は今度これを彼らに見せようと思う。

 

f3v
この草はとても面白い。地面を這いずり回り地中にも潜る。
先端の青みがかった膨らみで様々なものを吸いつける。
彼らには当たり前のことかもしれないが私にとっては初めての事だったのだ。
私はいつか彼らにも発見できないような特性を見つけてみせる。

 

f4r
この草はほかの草を食べて生きている。ほぼ単一の長さの根を驚くほど巧みに使ってすばやく移動し、相手を中央の茎で縛り、茎の先端から草を溶かし崩す液体を分泌する。獲物は特定の草であり、他の草や生物には溶かし崩す効果は見られない。
彼らから研究の許可が下りそうだ。もう少しでもっと細かな調査ができると思うと、嬉しく感じる。私にもかれらのち知識欲が移ってしまったのだろうか

 

f33v
この草は上下で三対になっている。花は集光するかのように太陽を追い、雨が降った際には茎を曲げ花弁を閉じる。その動きは素早く、まるで生き物かのように動くさまを見ることができる。中心の花は雨のときの様子を描き記した。
葉の部分は左右対象であり、片方が枯れ落ちるともう片方も自然と衰えていき、やがてなくなってしまう。根には球根のようなものができ、花が枯れるとそれを収穫している。一年草のようだが、ここでは暖かくなる前にそれを植えることを毎年必ず行っている。

 

f5r
これは非常に不可解な植物だ。根と思われる部分はほぼ地表に出ており、それを使って移動することがある。まるで生き物のようだ。
葉は大きく垂れ下がり、花を飾るように大きな円を描く。花を支える茎は非常に硬くしなやかでまるで金属のような特性を持っている。

 

f4v
この草は普段は青のつぼみがついているだけの草だが暗い場所に置いておくと茎の一部分が緑に光り、花が開いて茎よりも明るく光る触手が出てくる。
彼らはこの草を樹の中に植え付けて明るくしている。
彼らや私が住んでいる樹は中が空洞で枝には籠のように細い枝が組み合わさって出来た寝床がつり下がっている。

 

f5r
この草は幻覚作用がある液が根にある小さなコブからとれる。不用意に近づくと根にあるとても小さな穴から青色の幻覚作用のある霧を出して相手に幻覚を見せ、運動能力を阻害し、花の上にある鋭い歯が並んだ口のような器官で丸呑みにするという。
茎には伸縮性があり、千切れにくい。ここは本当に危険な場所だ。

 

f5v
この草は花に毒があり、蕾よりも咲いた後の方が毒性が強いそうだ。咲いたかどうかは紺色の花が赤い花の下に咲いているかどうかで判断し、花の下の膨らみがあるかどうかで咲いてから時間が経っているかを判断するそうだ。しぼんでいればより長い時間が経過していることになる。
葉は非常に柔らかく、毒はない。葉には体の傷を治す効果もあるそうだ。葉をつぶして傷口に当てておくと早く治る。

 

f6r
この植物は海に潜っている者から貰ったものだ。私はまだ行ったことがないがいつか行ってみたいと思う。
根は2本ずつ螺旋状になっていてこれが回転させ、葉で水を掻くことで水の中で移動するそうだ。5つある袋のような器官で獲物を食べたり袋についている毛のようなもので温度を感知するらしい。

 

f6v
この植物には痛い目に遭った。見たことのない植物だったので気が急いて採ろうとしてしまったのだ。まぁ、私が見たことのあるもののほうが少ないのだが。そのせいで花だと思っていた器官に手を刺された。最悪だった。花びらだと思っていた部分は針で彼らはその針を利用した毒付きの武器を作るらしい。刺された手は青い液体を注入されて紫色になり、少しの間に手が崩れた。肉がグズグズになって落ちる様は明確に書きたくない。幸い治癒効果のある草は前に書いたあれがあるのでなんとか手の形は保っている。

 

f7r
よくわからない。それが私がこの草に抱く感想だ。
この植物は栄養を必要としないらしい。動物を食べようとしないらしいのだ。いや、食べる方が異常なのだったか?まあ、どちらでもいいことだ。葉は膨れており、緑色の葉の中に片側だけ種のようなものが付いている。中央には新しい葉がはえてきているが、この植物の種は緑色のはの中に包まれるように落ちてしまうので地面に落ちない。そして中央のはが成長すると前の葉は種ごと落ちるそうだ。種を地面に落とさないようにする葉の意味が分からない。

 

f8r
私が彼らに聞いた知識の中で特に興味深かったのはこの植物だ。この植物は成長する際に茎が二つに分かれるのだが、その地にある養分の度合いによって全く違うものへと変化する。ここに描くのは養分が少ない地で育った場合のものだ。彼らが伝えるには養分が少なかったとき、2本の茎は養分の管が細い方が根元から落ち、管が太い方が残るという。この植物はより攻撃性を増し、葉は獲物に刺さるほど硬くなり、根は枝分かれしてうねるように動くようになるという。
誰か私を探しに来てくれる者はいないのか。彼らとの会話は頭が痛む。いつまで生きていられるか分からない。誰でもいい。誰か来てくれ 私がいなくなる前に

 

f8v
この植物はほかの植物と違い動かず、他のものを食べることもない。ただそこにあるだけの植物だ。ただしとても硬く、葉もよく切れる。この前見た動物が武器として使っていたのを見た。ただその動物はこの植物が持つ膨らみに触れた瞬間固まったまま動かなくなった。彼らによると心(精神)を破壊されたらしい。私は絶対に触れないようにする
右下の文字の意味「完了」または「終わった」、「終了」などの意

 

 

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どこのページか書いてもらえれば問題ないところは訳すんですが…
私は主の様に一度行って帰ってきたというような体験ではないんです。
夢で、というか夢が醒める瞬間に早回しのように記憶?が流れ込んでくるんです。なので今もしばしば向こうでの生活の記憶は流れてきます。
あともう1つ言っておくと、ここのスレであったイヴとアダムの禁断の果実の話し、あれは向こうの世界と深い関わりがあるのですが、向こうの世界で起きた話ではありません。

 


まず文法ですね、文法。私は言語学の専門家ではないので「皆にわかるようにテキスト作れよ」と言われても「絶対に無理」と即答できます。
なので分かる人には分かる。分からない人には分からない説明になるかと思いますがご自愛ください。
え~とですね、まずどこが一個の文字として成り立っているのかという点ですが、これは「基本的」に一筆で書かれているものが一つの文字です。正確には記号のようなものです(伏線)
そして縦線が含まれる文字から次の縦線が含まれる所までが一個の単語という区切りとなります。これには文字間の空白も含まれます。
さて、ここまではいいでしょう。ここまでは万人の理解が及ぶはずです。
先に書いておきます。
この言語には接頭語、冠詞、接続語などはありません。あるのは文字の組み合わせで文字を示すことだけです(誤字ではない)。

 

さぁ、ここからは想像力豊かじゃないと理解できないかもしれません。
想像してください。3種類の言語があります。
1つ目の言語は一文字である程度の情報量を持つ文字(1文字で1つの文に成り得る文字)を有する言語。
2つ目の言語はある程度の情報量をもつ文字を指定するための言語。
3つ目の言語は1文字に1つの概念を持った言語。
この3つの言語を用いてヴォイニッチ手稿というのは書かれています。8,9割が3つ目の言語。残り1,2割が2つ目の言語くらいの割合ですかね
ですから私も翻訳する際はけっこう気を使っています。
なにせ一つ間違えれば変な文になってしまいますからね。
原文(3つ目の言語には漢字が最も近かったので例に使います)
「根 茎 葉 他 違 動 無」を
日本語に直訳するとこんな感じになる文―「草」or「植物」、「他」or「違うもの」、「違い」or「変性」、「動かず」or「静止」―をさらに「この植物はほかの植物とは違い、動かず、」とまぁこんな感じに翻訳しています。もちろん概念を組み合わせているだけなので読む人が違ったり捉え方によって文章が変化したりもしますので私の翻訳に違和感があったり「草」と訳したり「植物」と訳したりするのはそのせいです
だから文法とか言われてもこれをどう説明したらいいのかすら分からないんですよね。人(?)によって書き方すら変化しますから。でも書いた人が分かれば読むのには苦労しませんよ。その人特有の書き方だったり似たような書き方だったりしますから。このヴォイニッチの書き方は向こうの人たちから読み難いと思います。私も漢詩を習ってなかったら読み難かっただろうと思いますから。

 

455の方の書き方だと「ヴォイニッチ手稿の内容が出鱈目である」と受け取る人が多くなってしまう可能性があるので補足しておきましょうか。
恐らく「ヴォイニッチ手稿の内容がフェイク、カモフラージュだ」というのは「内容が出鱈目だ」という意味ではなく「重要な一部分を隠すためにわざと関係部分が大部分を占めているのでは?」という見解なのだと思います。
これに対しては私は何とも言えません。ただ、67ページから絵が変わっていますのでその可能性もなくはないかな?とは思います。

 

そうです、全てが出鱈目だと言っている訳ではありません
…では、下記の文章に心当たりはありますか?
たぶん詳しくは答えられないのでしょうが、心当たりがあるか無いかだけでも…

まず平行世界の存在の確認について
平行世界とは木である
それは始まりも 終わりも 全てバラバラであり
そしてそれらはひとつになり 再びバラバラに散り 姿を消す
私は親である「」を用い ひとつの仮説を立てた
「」は巡り 我々を 豊かにする まさに『』を表す唯一の存在だ

しかしこれでは足りない 「」と「」を繋ぐ何かが必要だ
そこで 「」の繋ぎ目に【】を使うことにした
中略
ついに完成した
どこから見ても“”なのにその実態は〒である
非現実が現実になった
中略
完成品を観察して気がついたことがある
なんとか内部へ進入できないだろうか
私は幾つかパターンを用意した

 

『欲』を持つと重罪〜
V世界では元々『欲』を持つ者はいなかった、いや、いたかもしれないがそれは極少数だった
それが今では『欲』に負ける者が増えてしまっていて、インフルエンザのように流行しているのだ
そして、これがまた収束しないで困っている

治す為の特効薬はなく、比較的マシな対処療法は『欲を持ったが故の苦しみ』を与える事で、簡単に言えば「欲なんてもう懲り懲り」と思わせるのだ
V世界から欲まみれの世界へ飛ばし、実体験として苦しみを味わってもらう
そしてV世界に戻ってきた時には『欲』が無くなっているだろうと、まあこういった段取りとなっている

そもそも何故『欲』を持つと重罪なのか?これについては少し想像して頂きたいのだが‥仮に『欲』が無ければ‥

喧嘩や争いはなく、当然、戦争もない、お腹が減る苦しみもない、告白してフラれる苦しみもない、欲しいものが買えない等やきもきする事もない
結構悪くない世界だとも言える
V世界に至ってはそれに加え娯楽もないのだから、一見つまらない世界かと思いがちだが
つまらないと思う人は欲が満たされた時の満足感や娯楽を知っているからで、知らなければそれまでなのである
だからこそ『欲』は野蛮という価値観が前提にあり、ひいては『欲』が戦争を引き起こし世界を滅ぼすとの考えから『欲を持った者は重罪』なのだ

そんなV世界だったのだが、あるキッカケでV世界の住人に『欲』が蔓延しはじめる
そして今に至る訳なのだが‥そのキッカケとは‥

ともあれ自分は『欲』を持ってしまったが故に欲まみれの世界に行き、苦しみを味わい、制裁を受けなければならない
ただその前に裁判?みたいなものが有って、そこで色々細かい事が決まるのだ

 

家を出て裁判?する為の場所へ向かって行った

2車線の道路位太いウネウネした茎が上へどこまでも続いていて、そこを登っていく
その途中、親しい関係だった人の事をふと思い出す
自分は『欲』を持ってしまったので制裁を受けなければならないが、事実あの人はまだ家にいる
何故自分だけなのか?
「もしかしたら、一緒に居たいという『欲』を持っていたのは自分だけかもしれない」「いや、そんな筈はない!」
などと考え、少し歩いては後ろを振り返るのを繰り返した

結構な距離を歩いたと思う
まだ目的地にはついていないのだが、目線を先へ向けると 人だかり?が見えてきた
近づいてみて分かったのだが、それは人気ラーメン屋の大行列の様で、裁判?を受ける人?の待機列だった

最後尾に並んだは良いが中々進まない、先の方へ目をやっても先頭は目に入らなかった
並んでいる連中は自分も含め暗い顔をして下を向いている、当然会話もない

それでも列が中々進まないせいか、はたまた連帯感なのか、時間が経つにつれ近くの数人?とは打ち解け、色々話をしたのだった

 

列が本当に進まなく人間界での感覚でいえば1ヶ月位並んでいた、いや、もしかしたらもっと並んでいたかもしれない
その長い期間で話した内容を会話形式で書いていく
断っておくが、決して一言一句その様な『会話』をした訳ではなくて、あくまで伝わりやすいと思ったから 敢えて 会話形式で書いていく事にする


A:また行くのか‥気が重いよ
B:なんていっても死ぬ瞬間の痛み、これだけはもう味わいたくないね
A:次は『何』になるのか、とにかく食物連鎖の上位になりたいもんだ
俺:でも確率的には無理そうだからどうせ下位の何かじゃない?
B:自分はもう○○○○回連続だぞ?そろそろ上位がきてもいい頃だと思う
俺:そうなれは良いね

このあたりの段階で、自分の姿はもう人間の形を成していないかった
それどころか周りを見渡しても、人間以外の連中もその形を成していない
魂といえば良いのか、影といえば良いのか、そこにいる全員が同じ形になってしまっていた

A:この前は『花』だったよ、その前は『蛇』喰われて死んだんだけと、その時の痛みは辛かった
B:何かの血液の成分だった事もある、心臓まで来れば楽になるんだけど、心臓へ到着する寸前なんて地獄の苦しみだ、さらのそのループがひたすら続く、もうあれは勘弁して欲しい

最上位は人間である、次点で鳥類、要は食物連鎖の上位で喰われないのが人気だ
V世界には痛みがないので住人は痛みにとことん弱い

 

俺:でも何回行けば『欲』が完全になくなるんだろうね?
A:無理でしょ、一度『欲』を持ってしまった奴が、完全に抜けきった話なんて聞いたことがない、みんな結局ここに戻ってくるんだ
B:まあ○○すれば抜け出せるんだけどね、V世界の記憶がその時あれば絶対○○するんだけど‥
俺:○○って、ある程度知能がないとできないでしょ?だから結局は人間あたりにならないとダメだよね
A:仮に 人間になっても○○なんてできる気がしないよ、ここの記憶があれば別だけど普通しないでしょ、絶対に
B:こんな目にあってるのもあいつらが悪いんだ!

 

B:まあ、死んだあとの選択、これで霊を選んじゃった奴は終わりだね
A:そうだね、戻ってこれなくなって一生地獄にいることになるから最悪だ
俺:ただ『欲』から抜け出せないのであれば、霊を選ぶのもアリじゃない?
B:んー、確かにこのループからは抜け出したいけど、霊はナシだよ、だってここに戻ってこれなくなるから
A:下等な生物の知能のまま、姿のままで一生なんて無理無理
俺:選択の時が人間だったら?
A:ま、それなら考えるかな?人間の霊と、このループから抜け出せるのを天秤にかけるなら悪くないかもしれない、妥協だけど
B:でも、それは考え方次第でそれぞれだよ
俺:とにかく、人間になれる事なんてまずないから、考えるだけ無駄だけどねw
A:しかも選択の時はこっちの記憶ないしw

こんな感じで自分たちの不安な未来?を話したのだった
そうこうしているうちに裁判?審判?を受ける場所に着いたのだが、その前に一つ話をさせてもらう

 

V世界は葉や草と共存する世界である
家も道も、何もかもが植物で出来ている
世界観は、森に小人が住んでいる様なものだ

その緑の森に『泉』がある
そこは神聖な場所であり、定期的に住人達が集まるのだ

V世界は居るだけで気持ちが良い、さらに葉の上に寝そべると麻薬の様な快感を得られる
しかし、実はそれらよりも『上 』の『最上級』が存在し
それが、この『泉』なのだ

『泉』と言ったが、温泉なのか風呂なのか、とにかく住人達はそこに入っていた
一度入ると出たくなくなってしまう程、物凄い快感と安心感が同時に得られる
ただ、この『泉』は管理されていて、いつでも好きな時に入れるわけじゃない
交代制で、決められた『日にち時間』が決まっている


ここで思い出して欲しいのが、V世界での『食べない』
これは『食べる事が出来ない体』だからではなく『食べなくても体を維持できる』からで
『食』の代替えが『泉』
信じ難いかもしれないが、この『泉』で栄養を摂っている

わざわざ何故そんな事をしているか?
それは『欲』の抑制の為であって
何かを食べるとその味を知ってしまい、争いに発展するからだ

もっとも『泉』の交代時は誰もが「もっと入っていたい」と思っていたと思う
ただ管理されているので見張りがいた、だからスムーズに交代はできていた


そして、この『泉』は不思議な力があるのか、他の場所には存在しない『果実?』が泉の周りの木にぶら下がっていたのだ

 

遥か過去の事件

体の芯まで痺れる、そして包まれるような安心感
至福のひと時を味わっていた
この『泉』は交代制なのでいつでも入れる訳じゃなく限定されている
だらら余計にこの瞬間は格別なものとなるのだ

時間が経過し交代の時間が近づいてきた時、隣の奴がボソッとつぶやいた
「まだ出たくない‥」

「おい、静かにしろ、見張りに聞こえるぞ!?」
周りの住人は小さな声で注意を促す

ここV世界では『欲』は重罪の為、見張りにバレたらまずいのだ
ただ、これは矛盾というか色々とおかしい
こんなにも依存性の高い『泉』に入っておいて『欲』を持つなと言われても、それは無理な話だ

とにかく住人達は交代時、『自分は全然依存してませんよ?』とアピールするかの
様に『泉』から出て行く
後ろ髪引かれるが、やせ我慢しているのが本当の所だろう
もっと言えば、あの木にぶら下がっている『果実』も全員が気になっている筈だ

 

その何日か後、ある噂を聞いた
正直、信じられなかった
『泉』 に忍び込み『果実』を食べた奴等がいるらしい

本人達は食べた瞬間、まさに狂喜乱舞!天と地がひっくり返り
周りで見ていた者はタブーを犯した本人達を引いた冷たい目で見ていた
その光景は『食べた者』『食べない者』との温度差が凄まじく、恐ろしかったとの事

勿論、本人達は過去、類に見ない最大級の制裁を受け、姿を消した
しかし、この事件はこれで終わらなかったのだ

 

『泉』に忍び込み『果実』を食べる者が後を絶たなくなってしまったのだ

類に見ない最大級の制裁を受ける事は分かっている、分かっているのだが我慢できない
『欲』は重罪!野蛮!
V世界ではそれが絶対的価値として浸透しているのに、何故か食べてしまう


それは、住人の『食べた時の顔』


これを見た者、その者は『欲』に抗えない、そして心を支配される
食べない、娯楽が無い世界で生きてきた住人が、初めて果実を食べた時の顔
その笑顔が他の住人達の心の鍵を次々と、いとも簡単に開けて行ってしまったのだ

ここまで来ると後は早い
忍び込む順番等について争いが起こった
どこの世界にも『管理する側』『管理される側』が居るが、前者側はほとほと困ってしまった

最大級の制裁とは『欲のある世界』に飛ばす事であったが、そのレベルを上げざるを得なくなってしまい
段階的に『欲まみれの世界』へと変わっていく事となる
同時に『果実』を食べる者は思惑通り反比例していったが‥

結論を言うと、自分も食べてしまった
だから、このループから抜け出せないでいるし、裁判?審判?を受ける為の列に並んでいるのだ

これが人間界での話『アダムとイブ』と酷似していて
幼稚園の頃、この話しを聞かされた際に、どこかで聞いた事あると不思議に感じたのを覚えている

 

人間界でのタブーな話し

現状を整理してみる
V世界で『欲』を持つと、制裁として欲まみれの世界(人間界)へ飛ばされる
そこで死んだ時に選択をし、霊を選ばなければV世界に戻れる
しかしV世界で再び『欲』を持ってしまうと、また飛ばされる
このループを打開したいというのが我々重罪人の願いだ

そこから抜け出す為には○○すれば良い訳だが、実際、難易度は高い
哲学的な物言いで申し訳ないが、○○が難しいと感じるのは、そう感じるからであって
その様な価値観が今の人間界に絶対的基準としてあるからだ

 

ところが、かなり昔はそうでもなかったのだ
現在と価値観のズレがあり、結果的にハードルが低く、本当は『欲』から抜けきっていないのに、このループから抜け出す者も少なくなかった

二度と『欲』を持つ事がないようにと始めた制裁だったが、機能しないのでは意味がない
これじゃイカン、という事で
『管理する側』から一名、V世界の記憶を持ったまま、欲まみれの世界(人間界)へ飛んだのだ、調整の為に

 

その××××は○○を●●して広め、その価値観を定着させる
結果○○は難易度の高いものとなり、めでたく『管理する側』の思惑通りになった
現在でも?????として生活のみじかな所に存在する


最近何かと話題になっている▲▲▲▲▲▲▲は?????と関係が深いとされている
これは個人的な想像だが、上記二つとV世界
この三つの点が一つの線に見えてくるのだ

 

道路位の丸い茎を登ってきた
途中、いくつも枝分かれしていたが、ひたすら上に登ってきた
長い道程だったが、それも遂に終わりを迎える
着いたのだ、頂上に

しかし達成感なんてものは欠片もなく
処刑台に上がる、そんな気分であった

裁判?審判?をするこの場所は
心地良い風が吹くこともなければ、満たされていく『あの感覚』もない
光が射す緑の森の雰囲気はそこにはなく、辺り一面『白』
目に映る色彩が『白』のみなのだ

管理する側の者に監視されながら順番を待つ
先程打ち解け情報交換した者たちも、さすがに口を開く様子もない
一人、また一人と確実に自分の番が近づいてくる
いっそ時間が止まって欲しい、そう願うしかなかった

しかし、その願いとは裏腹についに来てしまったのだ
自分の番が‥


裁判?審判?の順番がきたわけだが、ここでのやり取りは拍子抜けする程にシンプルだった

一方的に罪状を言い渡されたら弁解の余地は一切無い
事務的にどんどん処理が進んでいくので、こちらは取り残された気分だ

ここでの従事者は長蛇の列を捌くので手一杯、こちらの都合などお構いナシといった様子
「 ○○の間、人間として生きなさい」
「あなたの歩む人生の詳細はこちらの通りなので目を通しておく事」

良く覚えていないが文字?を読んだのは間違いない
その書類には様々な事が書かれていた

どこで生まれ、どの様に育つか
人間としての能力(頭の出来、運動能力、等)
事故に遭う時期
寿命
死ぬ原因、理由

 

今回のお勤めはこれ以上ない最高のものだった

食に困らず、すくすくと育つ
能力を仮に5段階に分けるとすると、全ての項目が4程度ある
何よりも『喰われない』事が恵まれている

もちろん悪いことも多少なりあって
事故に遭うらしい
しかし、そこで死ぬわけじゃないので痛み的にはそれ程でもないのだろう
また寿命が長いので、すぐV世界に戻ってこれない

一通り目を通し終わると従事者に促され、ある場所へ移動した

 

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2017/11/21にまとめた